2018年9月9日、東洋医療専門学校において第3回統合医療生殖学会(第45回子宝カウンセラーの会)が開催されました。統合医療生殖学会恒例の先生方による症例報告もあり、通常の子宝カウンセラーの会とはひと味違う雰囲気を感じていただけたのではないかと思います。ご講演頂きました先生方、そしてご参加頂きました先生方のご協力のおかげで成功裏に終えることができました。心からお礼申し上げます。
■プログラム
第1部 医学博士 邵輝先生 「妊娠の原点は東洋医学の力」
2017年の出生数は統計開始以来最少、2年連続で100万人を割り込み、不妊手術件数も依然として多いです。IVFの技術があっても良質の卵子と精子がなければどうすることもできません。東洋医学的な発想で養生することが大切です。
不妊治療のカギは食生活です。不妊治療をしている時は、あたりまえのように口に入れているものを見直す絶好の機会です。虚熱、鬱熱、水滞と女性は詰まる病気が多いです。食べ過ぎで胃腸から三焦に汚れがたまっています。この場合、利湿、すなわち水を出すことが大事です。汚れている所にいくらいいものを入れても詰まるだけなので、タンポポT-1エキスの利水作用とシベリア産松瘤エキスの温陽利湿作用でゴミを取り去り、補血の阿膠食品を使用します。
ストレスや冷え、卵子の質を上げるのにも漢方の力が役に立ちます。体の状態を整えることは一朝一夕にはできませんが、毎日の積み重ねがご自身の健康を作ります。
第2部 みうらクリニック 院長 三浦直樹先生 「健体康心への取り組み」
病気は医者ではなく自分が治すものです。当院の治療方針は心、食、運動、息(呼吸法)に冷えの解消と環境が加わりますが、どういう心もちで治療にあたるかが大事です。特に難病の方にとって「どうしても生きたい理由」は大事です。「病気=悪」ではなく、すべてのことに意味と価値があってベストな将来につながっていると私は考えています。
医療は人を癒すことですから、患者さんが来た時よりも帰りの方が元気になる医療を目指しています。できていることを少しでもほめて、やる気にならなくてもいいから「なんとなく治るかもしれない」とその気になってもらえることが大事です。病気になると「あの時の生活が悪かった」と思いがちですが、病気は罰ゲームではなく魂の成長のための気づきです。これからどうしていくかが大事です。不安を整理して、選んだことをベストにしていくために一つずつ行動していきましょう。
第3部 漢方の野崎薬局 薬剤師 野崎康弘先生 「シベリア産松瘤エキスのエビデンスに基づく臨床例」
松節ともよばれる松瘤は松の木自身が害虫や外傷による傷を治すために松の成分が集中してできたものです。その漢方学的特長は温陽利湿活血と袪風活絡止痛です。陽を動かして湿を除いて血を動かす温陽利湿活血は、冷やしてはいけない子宝のポイントです。
不妊治療においてタンポポT-1エキスとシベリア産松瘤エキスを組み合わせると一層よいです。貧血がある時や低温期は阿膠食品を追加します。私は邵氏温灸器で腹部の三点灸と耳の温灸も行います。耳に温灸をすると神経が落ち着きます。シベリア産松瘤エキスは子宝だけでなく多くの症例や健康増進に応用できます。他の薬との併用も可能です。
第4部 症例報告
今回発表頂いた症例は以下の通りです。詳細は当日の配布資料、『統合医療生殖学会会誌 第9号』をご参照ください。
●みゆ己薬局 「食生活の改善と温灸により自然妊娠」
●メディカルサロンM岐阜漢方センター 「胚移植に向けての鍼灸の方法」
●萬育堂薬房 「AMH1.9から待望の自然妊娠」
●英ウィメンズクリニック内サプリメントサポートセンター 「タンポポT-1エキスを用いた胚盤胞取得率及び妊娠率の年齢別比較検討 タンポポT-1エキスを用いた胚盤胞取得および妊娠までの年齢別飲用期間の比較検討」
●アオキ薬局 「シベリア産松瘤エキスの不眠への応用」
●イズミ薬局 「PCOS、橋本病を克服して自然妊娠」
第5部 萬育堂薬房 橋本実沙樹先生 「温灸・カッサ講座 肩こり」
肩こりに対する温灸とカッサの使用についてお話ししました。ツボは肩井、肩貞、曲垣を使います。肩貞は五十肩、曲垣は背中の痛みにも使えます。
2018年10月12日からカッサ療法士育成講座を開講します。場所は大阪市北区にある萬育堂薬房で、東洋医学、カッサの使い方、ツボ等について学びます。ぜひご参加ください。
【和漢医薬学会発表要旨】 株式会社徳潤 学術部長 野崎利晃先生 「妊娠率向上のために」
不妊症の患者さんには生理痛、冷え、アレルギー、疲労のうち二つ以上の自覚症状があるという共通点があります。これらを改善して妊娠率向上を目指しました。
2014年3月から9月まで某病院でIVFによる妊娠率とIVFに統合医療(タンポポT-1エキス、漢方、邵氏温灸器)を併用した妊娠率の統計を取ったところ、全てにおいて統合医療を併用した方が10パーセント以上、妊娠率が上がり、最大で30パーセントの差がありました。また、メディカルサロンM岐阜漢方センターにおいても邵氏温灸器を用いて30代前半では84.6パーセントの方が一年以内に二回以内の移植で妊娠されました。
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次回、第46回子宝カウンセラーの会は以下の開催予定となっています。ご参加のお申し込み、お問い合わせは一般社団法人統合医療生殖学会までお気軽にお問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしています。
■第46回子宝カウンセラーの会のお知らせ
日時: 2018年12月9日
10時~15時30分(開場9時30分~)
場所: 東洋医療専門学校 7F大教室(新大阪)
プログラム(予定):
第1部 医学博士 邵輝先生
第2部 英ウィメンズクリニック 部長 日本産科婦人科学会専門医 十倉陽子先生
第3部 薬局代表の先生のご講演
第4部 日本国際中医薬振興会指定国際薬膳師講座 早川敏弘先生
第5部 温灸・カッサ講座 橋本実沙樹先生