私は全国で開催されている子宝セミナーで講師を務めていますが、参加されている男性
の大半は、いかにも「奥様に引っ張ってこられました」感を全身に漂わせています。椅子に浅く腰掛けて足を長く伸ばし、斜に構えて…顔や態度にそれはもうありありと出ています。
ようやく、不妊の原因は男性にもあるとの認識が一般に広まりつつあります。それでも、自分は当事者かも、と一度でも想像したことのある男性は、はたしてどのくらいいるでしょう。
「不妊の原因の大半は男性にあります」私がこうきっぱりと申し上げるのは、男性にも不妊原因があることをきちんと認識して頂きたいからです。とは言っても、私の言葉にパッと表情が明るくなる女性とは対照的に、更に半身になる男性を見ると、依然として道は長いと感じずにはいられませんが…。
私はやがてママになる方に、赤ちゃんを迎えるしっかりした体を作るために、体を冷やさない、食生活を見直すといったことをお伝えしていますが、男性も日常生活において改善できることはたくさんあります。第一に禁煙です。最近体が重くなってきたと感じる方は、BMI値22を目安に体重をコントロールしましょう。精子は熱に弱いので下着はトランクスにする、コンビニ弁当やカップ麺、ペットボトル入りの飲料はできるだけ避けることも有効です。
男性側に問題があり、様々な治療や体質改善を行っても良い結果が得られない場合もあります。そんな時、奥様はくれぐれも「不妊の原因はあなたにあるのよ、しっかりしてよ」と追いつめるような言動だけはしないでください。男性にとっても不妊の現実を受け入れることは難しいことで、男性としてのプライドもあり、相当傷ついています。最良のパートナーである奥様こそ、理解して支えてあげてほしいのです。
あたりまえのことですが、赤ちゃんを授かり、育てていくためには夫婦が全力で協力しなければなりません。夫婦のどちらにどれだけ問題があるとか責任があるとか考えるのは、全くのナンセンスです。お互いがお互いの足りない部分を補って、結果的に100になればよいのです。赤ちゃんがほしいという気持ちだけが先走ってご夫婦の仲がギクシャクしたままでは、たとえ赤ちゃんを授かっても、それはちょっと違うのではないでしょうか。
平均寿命が八十歳を超える現代では、アラフォーと言えどもようやく人生の折り返し地点を通過したに過ぎません。残りの半生を充実させるためには、まず一生を共にすると誓ったパートナーを大切にすることです。
その上でお二人に赤ちゃんが授かれば、この上ない喜びとなるでしょう。喜びは共に喜んでくれる人がいてくれてこそ、なのですから。
一般社団法人「統合医療生殖学会(旧「子宝カウンセラーの会)」事務局長兼理事
萬育堂薬房 顧問 柳田浩二
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